そう思っても希望を捨てきれない依奈は、可能性は低いが運動部の部活へ行っていると思い、外を歩き回っていた。
体育館の近くへ通りかかった時、笑い声が聞こえて足を止めた。
その笑い声は体育館裏から聞こえてきていた。男がゲラゲラ笑っているのが分かる。
依奈は不審に思い、体育館裏手前の所で立ち止まり、角からゆっくりと覗き込んだ。
そこには昔の苦い思い出を甦させる出来事が展開されていた。
高校生なのに煙草を口にくわえ、偉そうに階段前に座っている京吾。
風船ガムを膨らませながら、カメラで何かを撮影している来希。
砂埃で倒れ込んでいる生徒に容赦無く暴力をふるう清都。
明らかに遊びのレベルではない、イジメの現場を目撃したと依奈は確信する。そして更に依奈は驚愕した。
三人の不良に人間以下のように笑われ、暴力にあっているのは章太だった。
依奈は目を見開き、目の前のことが夢なんじゃないかと思う程ショックを受けた。
「お〜い。まだノルマ終わってねぇぞ〜?何ぐったりしてんだぁ?」
「ご、ごめんなさい...もう....許して...」
「ノルマが終わってねぇって言ってるだろ?ノルマ達成までやんのが当たり前だろがッ!」



