「ご両親は?」
「今はいないよ。というか、いつ帰ってくるか分からないけど。」
母親は今は実家に暮らしている。祖母や周りの親族は依奈を預かろうもしてくれていたが、依奈は拒否した。
親族の顔を見ると、あの地獄が脳裏から離れなくなる。そしたら生活もままならない上、また自殺を測ってしまうと思ったからだ。
「...じゃあリビングはあそこだから」
「あなたの部屋は?」
「え?....二階...だけど...」
さっきの事もあり、依奈はなるべく自分の部屋には立ち入りたく無かったが、女子高生はそんな事も知る由もなく、ズカズカと二階へと登って行った。
依奈はそんな女子高生を引き止める事が出来ず、逆に先頭をたたれ案内されているようになってしまった。
女子高生は部屋の前に立ち、ドアを開けた。依奈は少し警戒をして見ていたが、部屋は薄暗いだけで何も無かった。
ホッと依奈は一息つけたが、女子高生は部屋に入るとすぐさまカーテンを広げた。外の日差しが部屋に光を与えた。
「時間問わず、あまり暗いのは駄目よ?真夜中にしか出ないって言うのは大間違いだから。」
「え?そういう...ものなんですか?」
「ええ。普通に日が出ても出てくるわよ?早朝とかも。日中はあんまり出ることはないけど、あくまで"あんまり"。絶対じゃない。
と私は思ってる。」



