依奈が気が付いた表情を見て、小さくため息を吐いた。
「良かったわ....完璧に忘れられなくて。」
「あ、あの時は...本当にすいません。前が見えてなかったもので...」
「お礼はあなたの部屋でたっぷりしてもらうから。じゃあお邪魔します。」
「いやいやいやいや!!それとこれとは話が別でしょ!何なのよ!用件が言えないならもう帰って下さい!!」
依奈はさっきの事もあり、人と一緒に居たかったが、この女子高生と一緒にいるのは嫌だった。何より、身の危険を本能で感じ取っていた。
ドアを閉めようとすると、女子高生は手で無理矢理開けようとした。
「何なんですか!?警察呼びますよ!!」
「あなた、何かに取り憑かれてるわよね?」
依奈はドアを閉めようとしていた力が一気に緩んだ。取り憑かれてる、その一言で依奈を呼び止めるには十分すぎた。
女子高生はそんな依奈の様子を見て、更に口を開いた。
「ただの幽霊に取り憑かれてる訳じゃない。言うなれば...悪霊かしらね。
それについさっきも襲われてた。楽しかった?」
「....入っていいよ。中で話がしたい。」
依奈はドアを開け、女子高生が入れるよう横へ移動した。
女子高生はぺこりとお辞儀をして、家の中に踏み込んだ。



