整った容姿に一本一本が黒光りしている綺麗な髪の毛を垂らし、白いシャツに黒いロングスカート。
至ってシンプルだが、スタイルがいいのかとても似合っていた。
勿論、依奈はこの人物を知らないが、どこかで会ったような気がしてならない。
「あ、あの〜....何か御用ですか?」
「こんにちは。お邪魔します。」
女性は軽くぺこりと頭を下げると、家の中に入るとしてきた。
依奈は慌ててドアを半分閉めて、それを阻止した。
「ちょちょちょ!何なんですか!?用件も言わないで勝手に...」
「用件なら家の....いえ、あなたの部屋で説明するわ。もういい?いいわよね。お邪魔します。」
「いやいやいやいや!意味わからないんですけど!ちゃんと説明してください!あなたはまず誰なんですか!」
そう聞くと、女性は長い髪をまるでCMのようにかきあげると、疑問そうな表情を向けた。
「あれ?あなたは私の事を覚えてないの?それはちょっと寂しいわね。日にちは経っていれば経っているし、あなた泣いてたものね。」
依奈はその言葉を聞いてハッとした。
その女性に抱いていた思いがようやく分かった。
「あ!あなたはあの時、ぶつかっちゃった女子高生の...」
善子に怒鳴られ、泣いて帰った時に偶然ぶつかってしまったあの女子高校生だった。



