次第に加速していくその音に怯え、ゆっくりとドアから離れた。毛布に近付きないよう慎重に下がっていった。
ガタガタガタガタガタガタ!!!
横隣にある大きなタンスが急に揺れ始めた。
急な事が立て続けに襲いかかってきて、依奈は頭が真っ白になり、ガタガタと震えながら部屋の中心で小さく丸くなった。
すると次第に近くの机や窓もガタガタと震え始めた。
依奈は音に押し潰されていくような感覚になり、心臓がキュッと小さくなり、吐き気に襲われた。
誰か...誰か....助けて...章ちゃん...
ピンポーン。ピンポーン。
家のインターホンが部屋に聞こえてきた。すると、さっきまでの物音は途端に消え失せ、聞こえるのはインターホンだけだった。
一瞬の状況の変化に依奈は理解が追いつかなかった。
消えたことは嬉しいが、逆に恐怖でもある。
インターホンは依奈を誘い込むように何度も何度も押された。
その誘惑のようなインターホンには応答したくなかったが、身体が助けを求めているのか、ゆっくりと部屋を出た。
いつも見る玄関が魔の扉に見える程、依奈は追い詰められていた。
大きく唾を飲み込み、勇気をだしてドアを開けた。
ドアを開けると、いつもと変わらない景色に一人の女性が立っていた。



