依奈は全身が鳥肌に覆われながら、毛布をすぐに手に取り、身体にまきつけて固まった。
寒くはないのにガタガタと震え、依奈は一歩も動けない。
なんで!なんでこんな時に!いつもなら少なくとも夜に近い時間だったのに!!....もしかして暗いから?
というか...来希を殺したのも
プルプルプル!プルプルプル!プルプルプル!
「ひっ!!」
近くにあった自分のスマホの着信音にすらこの始末、依奈は情けなく思いながらもしょうがないと悪態を吐きながらスマホを手に取る。
着信相手は不明だった。嫌な予感を察しながらも、依奈は恐る恐る電話に応答した。
「....も、もしもし...?」
「「ザザッ....ザザザザ...」」
「....?もしもし?聞こえてますか?...イタズラなら切りますよ。」
そう言って切ろうとした時、砂嵐の音はスマホからピタリと聞こえなくなった。その異様な感じに依奈は悪い予感しかしなかった。
だが、身体は何故かスマホを耳元へ当てた。
「.......アシモト......ブッ!...」
電話はそこで切れた。たった一言、それだけなのだが、依奈にとって決定的かつ最悪な一言だった。
それと同時に、右足の親指と人差し指指の間に生暖かいゼリーの塊のような感触を感じた。
人間というのは面白い生き物で、見るな見るなと言われるとついつい見てしまう好奇心を抑えられない事が多い。



