京吾は天に向かって両手を合した。この言動に依奈は何か頭の中で切れた音がした。

バッと立ち上がって、京吾の方へ向かうと思いっ切り押し飛ばし、京吾は椅子と一緒に倒れた。

この行動にクラスはザワつく。自殺行為のようなもの、クラスの全員はこれから始まる処刑を想像した。
来希と清都は同時に立ち上がる。



「てめぇ!何しやがる!!」


「うるさい!よくも章ちゃんを...章ちゃんが何したっていうのよ!章ちゃんを返せ!!この人殺し!!!」


「こいつ....ふざけんのもいい加減に」


清都が依奈に近づくと思いきや、清都の肩に手が置かれていた。京吾だ。
京吾は真顔で、清都を後ろにやるとゆっくりと依奈の方へ向かった。

依奈はプルプルと震え、涙ながら京吾を睨む。


二人が向かい合った次の瞬間、依奈は斜め右の方へ顔から飛んだ。
京吾が殴ったのだ。それも拳を握って。

依奈は京吾に殴り飛ばされ、そのまま床に倒れた。口が切れ、口内に鉄の味が広がる。殴られた反動で目眩がし、まともに息が出来なかった。

京吾は倒れている依奈を見下すと、思いっきり腹に蹴りをくらわした。何度も何度も無表情で蹴り続けた。
蹴る度に依奈は声を漏らすが、段々低く小さくなっていく。