財閥として同じ荷物を持っていることに少なくとも『同じ』という目を向けた。
…私も、そう"だった"から。


「着きました」


充希がドアを開けるとピカピカのビルが顔を出す。


「ようこそFlower」
「ええ」
「一ノ瀬浩暉(こうき)です、瑠衣をよろしくね」


40代と思われる若い人が出迎えるなり、私に向かって頭を下げる。瑠衣の父親だろう。
柔らかい印象のその人に頰を緩めた。


「瑠衣」