結婚してもなお
夏妃に傾いてしまった俺。
親父に夏妃を取られたあの日
悔しかった。
母親のいない俺にとって
夏妃は甘えられる存在だった。
大切なものを奪われた気がして。
自分の無力さを実感させられた気がしてならなかった。
でも、それって好きだったのか。
愛していたのか。
俺が夏妃に求めていたのは
母親像だったのかもしれない。
俺は大きな間違いをしていた
そう気づかせてくれたのは志保で
この勘違いに目を覚まさせてくれたのは佐藤や京輔。
佐藤が初めて声を荒げて俺に話した。
志保のことと夏妃のこと。
そんなことをさせてまでも気づけないなんて
本当情けない。
だが、佐藤も言ってた。
これからを決めるのは自分だと。
もう俺は迷わない
京輔なんかに渡してたまるか。



