パーティー当日
夏妃が朝からどの着物にしようかと俺の部屋の鏡を占拠していた。
自分の部屋があるのに…
なぜかそんな想いがしながら
志保は京輔に選んでもらったって言ってたけど
どんなのにしたのか知らないのが悔しい
会場に着くなり
いつもはしてない指輪をつけていて
改めて夫婦なんだと思い知った
でも、そんな言葉がもったいないほど
志保はこの日に全てを捧げていた。
俺が知らないうちにたくさんの教養と
語学を身につけ、普通では知らないような歴史
教育を受けてきた俺でもしらない国の言葉ですら
〝同時通訳〟という難しい通訳技法で取り組んでいた
お陰で俺の評判も良く
〝素敵な女性が嫁いできた〟と噂まで広がり1日目を終えた。
その上、終わった後なにひとつ文句も言わず
疲れたと小言すら聞こえなかった。
佐藤には「ね?おぼっちゃま」と
しっかり見ろと遠回しに喝を入れられたようだった



