「お先に失礼します」 定時になったのと同時にバッグを持って席を立った。 「お疲れ様」 同僚たちに見送られながらフロアを出ようとした……。 ーーーゴロゴロゴローーー。 廊下からやけに響く音。 私も含めたフロア中の視線がそちらに集まる。 大きなスーツケースを引きずりながら、カツカツと早歩きでこちらに近づいてくる。 「えっ?なんで……」 私は驚きのあまり、その場から動けなくなった。 一瞬幻覚でも見ているのかと思ったけれど。