電話の相手は大学の先輩で、同じ会社の総務部長だ。 気心知れた仲で、俺のプライベートも知り尽くしている。 だからといって、アメリカ出張中、しかも時差のことなど全く考えていないであろう時間帯の電話に出てみれば、第一声が「お前、結婚するのか?」なのだから、一体なんなんだと思ってしまうのも致し方ないだろう。 「こんな時間に電話寄越しといて、一体何事ですか?」 『だから、結婚だよ、結婚!』 予想外に大きな声で言われ、思わずスマホから耳を外した。