両親は無言だった。

「結は悪くないんだ。

俺が、遠距離恋愛につけ込んで、結を
元カレから奪ったんだ。

ただタイミングが悪くて、奪った時に
元カレの子がお腹にいただけなんだよ。

もし、結との結婚を認めてくれないなら、
俺は二度とこの家には戻らない。

それくらい結が大事なんだ。」

俺がそう言うと、父さんが口を開いた。

「誰が結婚を認めない…なんて言った?」

「え?」

俺は驚いて、父さんを見て固まった。

「お前みたいにわがままで自己中な男と
一緒になってくれるなんて、いいお嬢さん
じゃないか。
だいたい、結婚前に妊娠させた相手に責任が
ある事だろう?
なのに、堕ろさないで産む選択をした結さんは
素晴らしいと思うよ。
自分の幸せより、子供の命を選んだんだろう?」

「ありがとうございます。」

結の頬を涙が伝った。

そうなんだよ。
父さん、分かってんじゃん。