略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』

俺は席に戻り、また、結が置いていった千円札を結の机の引き出しに入れた。

戻ってきた結は、その千円札を財布にしまう。

このやり取り、何度目だ?


結は赤い目をしたまま、総務へと向かった。

午後は、産休前のいろいろな手続きがあるらしい。


「小川さん。」

事務の神田亜美さんがやってきた。

「はい。」

「今日、最後に、伊藤さんに花束を渡すんです
けど、部長がイケメンの小川さんにその役を
譲るっておっしゃってるんです。
お願いできますか?」

は?
無理だろ!?

とてもそんな事できる気がしない。

「ごめん、無理。
最後に喧嘩する訳にはいかないから、
神田さんが渡してやって。」

そう言って、俺はその役から逃げた。


そして、17時。

神田さんから、大きな花束を貰った結は、強張った笑顔を見せた。

俺の好きな元気のいい笑顔は、いつから見ていないんだろう。