でも、ダメだ

私の元カレを調べているんだから充のことも知ってるはずだ


「だ、だめ!」


私は立ち上がって玄関に向かった


「優さん!」


ダメだダメ!ダメ!
充のことから莉奈さんの事も知られるかもしれない
私の事から莉奈さんにまで………


「優!隆也に言うぞ」


充が部屋を出て来て私に携帯画面を見せた
着信画面で隆也の名前が表示されている
押せば隆也に掛かる


「だめ!だめ!」


美幸にまで何かあったら私は………


「優さん!大丈夫だから、私には充がいます」

「り、りなさん………」


私はその場に崩れ落ちた
そして、鞄を指差した

充が"鞄か?"と言って鞄を取って渡してくるが、見たくなかった


「中に封筒が」


首を振って、それだけ言うと莉奈さんが「見ますね」と、そう言って鞄から封筒を出した


カサカサと開ける音に私は耳を塞いだ


二人が息をのむ気配がする
きっと、軽蔑される
こんなことで、周りにまで迷惑を掛けている
周りに危険を及ぼすかも知れない



「充にも莉奈さんにも迷惑になる」


私はここにいてはいけない

私はフラフラと立ち上がった
その時、優しい温もりを感じた


「許せません、こんなの………
充、隆也くん呼んで!」

「だめ!そんなことしたら美幸にまで!」


温もりは莉奈さんで、身体を離そうとする私をしっかりと抱き締めていた