「み、みのりさん」

「優ちゃん、どこか行くの?
実は誠が心配して私に鍵を預けてたの、何かあったときの為に
誠から優ちゃんが最近おかしいって、聞いても何にもないって言うだけだから様子見てほしいって
明後日帰ってくるのに過保護だよね」


みのりさんが優しく笑って私の顔を覗いてきた


「あ、あ、」

「優ちゃん?ちょっと、顔色悪いよ?大丈夫?」


みのりさんにまで何かされるかもしれない


ダメ、私に近づいたら
ここを知ってるんだから今だって私を見張っているかもしれない
みのりさんがここに来たことが解れば………


「か、帰ってください」

「え?」

「帰って!」


お願い!
優しい人達まで傷付けるわけにはいかない


「優ちゃん?」

「な、なにもありません!
私、今から出かけるので帰ってください!」


私はみのりさんを押して部屋から出た

鍵を掛けてその鍵を見つめる
もう、ここには戻ってこれないかも知れない


「これ、誠さんに返しておいてください」


私はみのりさんに鍵を預けて走り去った


どこに行けば良いかもわからない
ただ、少しでも遠くに行きたかった


見てるかもしれない
私が立ち去ったのを見たかな

見て、安心してほしい
私が居なくなったと


"あの人の隣"って書いてあった
あの人は誰かはわからないけど、誠さんか社長だと思うから
私はいないと思ってもらえたら………


お願いだから、大切な人達を傷付けないで