それからは"優ちゃん""みのりさん"と呼ぶ様になって姉のように私の事も気に掛けてくれていた

秘書課の皆さんからもビシバシ教えてもらい
初日に感じた嫌な目線も感じる事は無かった



異変を感じるようになったのはあの、資料室の一件から二週間程経った時だった


異変と言うより視線
会社を出るときに感じた視線に私はキョロキョロと辺りを見回すがみんな忙しそうに歩いてこちらを見ている様な様子はない

「やっぱり、勘違いかな?」私はそう一人呟いて家に帰った





「最近、なんだか視線感じるんだよね~」


ある日、そう言ったのは社長だった
その時、私が感じた視線も社長絡みだったのかと納得した
何度かその視線を感じていたから


「優ちゃんは?」

「あ、私も何度か」

「やっぱりかぁ、社長秘書も替わったし、しかも女性だからね
何かあったら困るから注意してね
誠にも言っとくわ」

「………はい」

「ほら、何かあったら俺が殺されちゃうから」



私の顔が困惑してたのに気付いたんだろう
誠さんにまで?と思ったから………


部長になって忙しそうにしているから少し申し訳ないな


「それにしても、誠はえらく優ちゃんにご執心だね」

「え………」

「毎日、捕まえられて優ちゃんを口説いてないか、何か無かったかって大変だよ」

「それは………すみません?」

「ははっ、なんで疑問?
まぁ、わかるけど………夢中になるの
俺もちょっとヤバイんだよね」