あんな綺麗な人と付き合ってたんだもん
私じゃ、あの人の魅力に全然敵わない
本やDVD見てても仕方ない



「はい、優ちゃん
それ飲んで?落ち着くよ
ゆっくりしてくれて良いからね」


暖かい紅茶は荒んでいた心を少しだけ包んでくれた


ほうっと一息ついて、私から話始めた

私はずるい女
誠さんのお友達にすがるなんて


「女性に会いました
たぶん、元カノさんだと思います
5年ぶりみたいで、旦那さんと別れたって言ってました
凄く綺麗な人で驚きました
誠さん、その人に触れられても何も言いませんでした
私の、こと、妹さん?………って
わ、私、誠さん、といても、妹に、しか、みえ、ないん、だって、そ、れで………」

「わかった!もういい!」

「あー、誠はあいつ何してんだよ!」

「優ちゃん、電話は?かばん?見ていい?」


頷くと洋介さんが私の鞄を司さんに渡していた
司さんがぎゅっと抱き締めてくれた


二人の優しさに涙が止めどなく溢れてくる
元カレの時でもこんなに泣いただろうか



「誠さ、ん、手、振り払わなかった、
誠さん、私の、名前、呼んで、く、れ、な、かった、
追い、かけて、くれ、なかった…………
私、私………」


私は必死で言葉を繋げながら、意識を手放した