まぁまぁ、ゆっくり座れよと言わんばかりに階段に座り込んで私を見た
下から見上げてくる余裕な顔はイケメンの筈なのに、何故だか気分が悪い

断固として座らない私に気にもしないで話始めた


「美幸ってめっちゃ可愛くね?
俺は幼稚園からずっと美幸を見てるからな
小学校が離れるなんて………可愛い美幸の6年間が見れなかったのが心残りだ
でも、父兄として勇姿はしっかりと納めた
制服姿の美幸は可愛すぎて可愛すぎて…………」


うっと口元を押さえると、「あ、鼻血でちゃった」と
私はポケットからハンカチを取りだして渡した
「返さなくていいから」と、ちゃんと言った


「悪い悪い、想像だけでも可愛すぎて…………」

「あ、み、南くん、わ、私もう行くね」


私は足早に教室に戻った


だけど、それから
ほぼ、毎日一回は「津川」と呼ばれて毎日美幸ののろけ
今までものろけたかったのだろうか?

俺様な態度をしてたくせに、それは鳴りを潜めた

ちょいちょい呼び出されては"美幸の可愛さ"を伝授され、周りからは私との関係に嫉妬される

ついでに、南くんからも嫉妬に燃えた視線を向けられている
「俺も同じ小学校だったら!津川には負けてない!」なんていつも怒っている


怒ってるくせに…………
毎日毎日

確実に私はこの残念なイケメンに懐かれた