慌てて中に入って、唖然とした
想像していた様子とは違う

戸惑っていたのは、みのりだ
みのりに抱きつき、子どもの様に泣きじゃくっている優


「優ちゃん、ほら誠………」

「やだやだ!みのりさんがいい!」


むっ
みのりさんがいい?
俺は思わずみのりを睨み付けた


「はー、」


みのりは、わざとらしく大きなため息を吐いた
みのりは、俺を見ると心底嫌そうな目を向けてきた
この目、見たことある気がする


「100年の恋も冷めるって言うのはこう言うことなのかな………」

「え、」

「私は、あんたの事が好きだった訳じゃない」


それは、よくわかっている
お互い彼氏彼女もいたし
付き合う、なんて話も、近くにいてムラムラして襲ったこともない
男として女として見たことなかったはずだ


だから、みのりを信頼していた


「好きだった訳じゃないけど、あんたを好きな女からは幼なじみってだけで敵意されてたから
どっかで私は特別なんだって優越感があった
ちょっとした、見栄よ
あんたが最後に私を選ぶことで周りに自慢できるから
でも、優ちゃんと出会って優ちゃんに夢中になってるあんたに呆れながらも
別に好きでもなかったくせに誠を取られた!なんて思ってたわ
しかも、何でも持ってる優ちゃんに嫉妬した
だったら、誠くらい私に頂戴って
誠が自分の手に入った事実が欲しかっただけ
でも、今のあんたの情けない顔で色々冷めたわ」


みのりの顔は俺の知ってるみのりだった