「ふふ、」


みのりの笑い声が静かな部屋に響く


「何が、おかしい?」

「だって、おかしいでしょ?
あんな女一人のために大の大人が必死になって
そんな価値ないでしょ?」


握った拳に力が入る
どうして………


「なんで、………」

「私はずっと待ってたのよ
誠は私と、って!」

「お前と付き合うなんて考えたことないよ
お前だってそうだろ?」

「結婚するまではお互い遊べばいいと思ってたわ
誠の幼なじみってだけで意地悪されたけど、最後は誠は私のだし気にもならなかった
逆に足掻く女が醜かったわ
でも、津川さんとは結婚なんて聞いてない!
前の女は結婚してたこと知ってたから気にもしてなかった!
でも、津川さんは違う!
しかも、社長秘書?社長にまで気に入られて!
それなのに、今では秘書課の人たちとも仲良しじゃない!
散々、忠告してたのに気付かないからでしょ?」

「忠告?」

「えぇ」


みのりは何も悪びれることなく堂々としている
ずっとみのりは、そうやって来たのか?


「もしかして、資料室の件も塚本さん?」

「そうよ?まさか、秘書課が探すとは思わなかったから焦ったけど
馬鹿な警備員でよかったわ
携帯からあの子のIDとか友達関係も探ったけど何も気付かないのね
馬鹿ね」


そう言えば前に優が携帯無くて一瞬焦ったって言ってたっけ
すぐに見つかったって言ってたから深く考えてなかった

こうやって、傍で機会を伺ってたのか………
みのりを信じていた俺や優は本当に馬鹿なのかも知れない