「みのり、悪かったな」

「ううん、優ちゃん早く元気になってほしい」


みのりが手を握って声を掛けてくれたけど優が目を覚ますことはなかった


「塚本さん、タクシー使って
俺も誠ももう少しいるから
美幸ちゃん達も来るし」

「はい、すみません
ありがとうございます」


俺達はみのりを玄関まで送っていた


「あ、お姉ちゃんだー」


お母さんと一緒にいた一人の男の子がみのりの所に走ってきた


「ぼく、ちゃんとお姉ちゃんにわたしたよ
えらいでしょ?」


男の子はそう言って自慢げに胸を張った
なんの話だ?


「あ、えっと………」

「ほら、ぼくだよ!お姉ちゃんに白いふくろわたしたよ」


どくんっと心臓が大きく跳ねた
白い袋?
もしかして、封筒?


「そっか、ぼく偉かったね!ありがとう!」

「うん!じゃあね!」


慶太は男の子の頭を撫でた
男の子は嬉しそうにお母さんと帰って行った


「塚本さん、ちょっと、話聞きたいんだけど」

「………っっ」


慶太はみのりの腕を掴んで歩き始めた
俺は痛む心臓を押さえながらついていく


頭の中に沸き上がる疑問を何度も打ち消した


「塚本さん、白い袋ってこれ?」


談話室に入ってみのりを座らせて
慶太は内ポケットから封筒を出して机に叩きつけた
調べるのに預けていたやつだ


「……………」

「塚本さん、盲点だったよ、君とは思ってなかったから………
黙ってても、今度は"君を"調べればすぐにわかることだよ」