いつの間にか、鼻をすする音が聞こえなくなっていた。
「……わり、ありがとな」
ゆっくりと離れる身体。
私はカバンの中に入れていたポケットティッシュを袋ごと渡す。
「ひどい顔だね」
「うっせ」
「でも、悪くないよ」
初めて会ったときもすごく強引だったけど、信じてみようって思った。
あの時の言葉も、今の涙も、嘘はないって思うから。
「……まだ、私の恋愛指南は続くんだよね?」
「当たり前だろ、バーカ」
そうやって、いつもみたいに笑ってて。
たった1日で、今まで大っ嫌いだった一護のことを好きになんてなれないし、
一護が追い求める『理想』とやらも知らないけど。
でも、今まで抱いてた感情とは少し違う。
自分の中で、気持ちが、変わりつつある。
一護に対する気持ちも、恋愛に対する気持ちも。
少しは真面目に受けて見ようかな……恋愛指南。
いつか私も、誰かをちゃんと愛せるように。

