何も言わずにただぎゅっと抱きしめる、ただそれだけ。
我ながら大胆なことをしていると思う。
さっきまでは何とかしなきゃって勢いで行動してたから気付かなかったが、急に恥ずかしくなってきた。
そ、そろそろ離れよう……
私が手の力を少し緩めて身体を起こそうとした時、ズッと鼻水をすする音が聞こえた。
「……っ、く、うわあああああ!!!!!」
一護が私の背中に腕を回して泣き始めたため、離れることは叶わなかった。
誰もいないから良かったようなものの。
大号泣じゃないですか、一護さん……
悔しかったんだろうな、すごく。
どのくらい前から今日のために準備してきたのかは私は知らない。
でも、その努力があったから君が流す涙はとてもきれいなんだ。
一護が落ち着くまで、そっと頭を撫でてあげよう。
パッと見で硬そうに見えていたその髪は、触れると意外と柔らかかった。
どのくらいそうしていたのだろう。

