「また夏休み明けにね!」
「またねー!」
荷物を持った皆がぞろぞろとホールから出ていく。
横をすれ違ったセトくんと一瞬目があったけれど……
この間のことを思い出して恥ずかしくなった私は、すぐに目を逸らした。
お願いするね、と言った葉月先輩は部員たちが全員いなくなったのを見届けた後に帰って行った。
広いホールにあれだけ人がいたのに、今は私と放心状態の俺様男だけ。
しんとした会場は、お祭りの後みたいな寂しさを感じさせる。
「ねぇ」
「……」
さっきから何回話しかけても全く応答がない。
「……一護」
返事くらいしなさいよ、バカ。
私の声がどんなに小さくても、この距離でこの静けさなら、きっと聞こえているはずだ。
膝の上で作った握りこぶしをぎゅっと握る。
今まで自分がどんなに冷たく当たっても、この男が返事しないことなんてなかった。
何なのよ……
いつもみたいに、突っかかって来なさいよ。

