パンを焼きに行ったはずのお母さんが玄関に来ていて、私と俺様男の顔を交互に見てニヤニヤし始めた。
「さては、彼氏?」
「違う!」
否定早すぎだろ、と呟く俺様男は無視してお母さんの背中を押す。
「お母さんは出てこなくていいから!」
「えぇ〜折角だし一緒にご飯食べましょうよ、イケメンくん!」
「いいんですか、是非!」
是非じゃないよバカ!
私はアンタなんかと一緒に食べたくなーい!
「ねぇねぇ、名前は何ていうの?」
「椎名一護です。志乃さんと同じ恋愛指南部で部長をしています」
私そっちのけでリビングへと向かうお母さんと俺様男。
手にはすっかり冷えきったパン。
「はぁ……」
本日2度目のため息、運気がどんどん遠のいてる気がします。
「一護くんみたいなしっかりした子がうちに来てくれたら助かるわ〜」
「そんな、志乃さんは僕には勿体ないくらい素敵な方ですよ」

