かわいい凛子を他の人に見せたくないから、ねぇ。
後で見〜ちゃった!って言って凛子をからかってやろうと思った。
*
「こんにちはー!」
「おせーぞブス!」
部室のドアを開けて入るなり、この仕打ちである。
脆弱なヒロインだったら多分涙ぐんでるだろう。
「……って、あれ?志乃……だよな?」
どうやらこっちを見ずに声で判断してたらしい一護。
私の顔を見て、きょとんとした顔で目をぱちぱちさせている。
不意をつかれた狼が辺りをキョロキョロ見渡してるみたいだ。
もしここで知らない人のフリをしたら、誤魔化せるのだろうか。
「きゃ〜、一護先輩だぁ!」
「あ、志乃だな。そのどでかい声で分かるんだよ、バカ」
その無駄な努力すんなみたいな顔やめてくれません?
ちょっと悲しくなるんですけど。
「志乃ちゃん、いらっしゃい。今日は一段とかわいいね」
ふんわりと微笑む葉月先輩は、エプロンをして料理を配膳していた。
や、優しい……

