「おい、夏実。なんで先に行ったんだよ」



教室に入って、すぐに、あたしの席の前に歩いてくる。



「別に.......ちょっと早く行きたかっただけだよ」



匠に対して、どんなふうに接すればいいのかわからなくて、匠に言わずに家を出てきてしまった。



「なら、一言言えよ。俺も行くのに」


「いいよ、別に無理に合わせてくれなくて」


「.......なんだよ、それ」



不服そうな顔をしていた、匠だけど担任が入ってきて仕方なく自分の席へと戻る。



「どうしたの?なんかあった?」



前の席に座るこころちゃんが心配そうな顔をする。



「匠と普通にできない.......」


「どうして?」


「昼休みに話すよ」



このまま誰にも言わず、自分の中だけに留めておくのは正直キツい。
だから、こころちゃんにだけでも打ち明けようと思っていた。



「あまり、思いつめないでね?」


「ありがとう」



昨日からずっと考えていた。
でも、考えはまとまらないばかりかどんどん苦しくなっていく。