「ま、とにかくさ。俺とここで暮らすこと観念しろよ」


「……わかってるよ」


「よーし。じゃあ、俺の言うこと聞いてな」


「……は?」



なぜだか急に黒い笑顔になった気のする匠。




「俺がさ、お前のおばさんに頼まれてこうして一緒に住んでやってんだよ?俺の言うこと聞くべきだと思わない?」


「思わない」



いやいやいやいや。
おかしいでしょ!?

だったらお母さんに「ここに住みます」とかいって自分は自分の家にでも帰っておけばいいでしょ!?



「いいの?そんなこと言って。おばさんに電話しようか?」


「……っ、それだけは!」


「だったら、言うこと聞こう?」



ニコッと笑ってるけど、その笑顔は絶対に黒い。



「なに、言うことって」


「俺さ、モテんだよね」


「は?」



突然、何を言い出すのかと首を傾げてしまう。



「中学んときもそうだったけど、毎日女の子に追いかけやれて、なかなか迷惑してんの」


「はぁ」


「だから、お前、俺の彼女になれ」


「……え?」