「……っ、思ってないよ」


「あれ?顔赤いけど?」



完全にすべてわかってやっている匠に怒りがフツフツと湧いてくる。



「匠があんなに近くにくるからでしょ!」


「ふーん?ドキドキしちゃったわけ?」


「……したよ」


「……っ」



あたしの返答に目を見開く匠。



「する?」



だなんて、聞いてくる。



「ばか!するわけない!」



大人びた匠はすごく整ってて。
あの頃から格好よかったけど、さらに増してる。

きっと、女の子からもモテて、今まで彼氏なんかできたことのないあたしとは違う人生を歩んできたんだろうなって思う。

小学校2年まで、柊くんと匠のことを1番よく知っていたのはあたしだったのに。
いつの間にか、他の子のほうが知ってるんだろうなと思うとなんだか少し胸がチクリと痛む。

そんなの当たり前なのに。
7年だ。
7年もあれば、外見と環境もなにもかも変化がある。
そんなの、あたしが引っ越してしまったんだから仕方ない。

でも、やっぱり知っていたいと思うのはワガママなのだろうか。