「俺じゃだめ?」


「ダメとかダメじゃないとかじゃなくて、柊くんには彼女が.......」


「別れる。別れるから考えて欲しい」


「ごめんなさい.......」



こんなこと、願ってたことなのに。
どうしてだろう、あたしの瞳からは涙が止まらない。



「好きになれないか.......」


「好き、だよ。柊くんのこと」



ずっとずっと好きだったのに。



「.......じゃあっ!」



「でも、ごめんなさい」



あたしは、柊くんに頭を下げてから、その場から走った。

どうして、あたしは柊くんの告白にこたえられなかったんだろう。
ずっとずっとずっと夢見ていたことだったのに。

彼女がいるから?
でも、別れるって言った。

彼女が可哀想?
ううん、あたしはそんなにデキた人間なんかじゃない。



「.......匠だ」



あたしの脳裏を埋めている存在。
それはいつの間にか、柊くんじゃなくて匠になっていた。



「好きだ.......匠のことが」



一度認めてしまうと、止まらないなんてことはわかっている。

匠がいつも言ってることが本気なら。
あたしは、匠にぶつかっていきたい。