「なっちゃん、バイバイ」



すれ違いざま、ちらっとこっちを見て声をかけてきた柊くんにきゅうっと胸はなった。

ほら、やっぱりあたしが好きなのは柊くんなんだ。
こんなに胸が締め付けられるなんて、他の人じゃありえないもん。



「あなた……」



ぼーっと、柊くんが走って行った方を見ていると、突然後ろから声をかけられて肩がビクンとなる。



「柊の幼なじみですか?」


「え?」




柊くんの彼女があたしの前に立って、バスへの視界を遮断する。



「あたし、柊の彼女なんです。邪魔しないでもらえますか?」



この前までの友好な姿はどこへやら。
目の前の彼女は、あたしへの敵対視が丸見えだ。



「別に邪魔してなんか……」



決してあたしから声なんてかけてないし、彼女に悪いからとあまり、仲良くすることを避けているというのに。



「いま、声かけられてましたよね?」


「いや、あたしはかけられただけで……「なに!?柊が勝手にあなたに言い寄って来たとでも言うの!?」


「え……?」



話が飛躍しすぎてついていない。