ずっと前から好きだから

怒涛のように匠がから着信が来ていたけどすべて無視してしまった。



「はぁ……」



溜息を落としながら、郵便ポストに手をかける。



「……なっちゃん？」



ふと、頭上から聞こえてきた声にバッと思い切り振り返る。



「……え」



あたしの好きな人がそこにはいた。



「なっちゃん……だよね……？」


「う、うん」



どうして、急に思い出したんだろう。
どうして、声をかけてきたのだろう。
どうして、いまなんだろう。

惨めだと思っていたあたしの気持ちは、柊くんの登場によって、一気に浮上させられる。



「匠と一緒にいたのって、なっちゃんだった……？」


「うん」


「あー、ごめん。すぐに分からなくて。あまりにも可愛くなってたから」


「なっ……」



その言葉は、あたしの頬を紅潮させるには十分な言葉だった。



「嬉しいよ、また会えてさ」


「うん。あたしも嬉しい」



柊くんはこんなふうに話すんだ。
あの頃とは全然違う。

もちろん、声も違うけど。