「あ、こんにちは」


「あ……どうも」



匠が終わる頃に迎えにこいというので、来てあげた学校。
グラウンドへと下る階段を歩き出すと、階段に腰をかけていた彼女が振り返る。

柊くんの彼女だ。



「匠くんのこと迎えにきたんですか?」


「まぁ……」


「もしかして、匠くんの彼女なんですか?」



キラキラした笑顔であたしのことを見つめる。

柊くんのそばにいるこの子をこんな近くで見るのは、胸が痛む。
この人の事を柊くんは好きなんだ。



「匠とは……「あー疲れた!」



なんて答えたらいいかもわからず、でも、何も答えないわけにはいかず。
言葉を出そうとしたその瞬間、ゴツンと頭の上にカバンが置かれた。



「ちょ、痛い!匠」


「はは、お待たせー。帰るぞ」



悪びれた様子もなく、笑っている匠。

痛かったけど、正直助けられた。
柊くんの彼女は苦手だ。

別に彼女がなにか悪いことをしたわけじゃない。
性格が悪そうな子でもない。

でも、あたしがダメなんだ。