あんなふうに、匠と仲良くしてるもんだから、そんな気持ちになったことなんてないと思ってた。



「だから、おまえが俺に惚れないわけないんだよ」



クイッとあたしの顎を上げる。



「ちょ、なによその自意識過剰!」


「ん?まぁ、ここまで女の子達に追いかけられるとそうもなるよね」


「そんなの、わかんないし。あたしはそうはならない!」



小さい頃からずっと一緒だった。
気がついたときには匠と柊くんと一緒にいつもいて、匠も大切な存在だったけど、あたしが好きなのはどうしても柊くんだったんだ。



「お前はどうやったら俺でここいっぱいになんの?」



あたしの頭をポンッと叩く。



「なんで、そんなこと言うの……」



あたしにとって、匠はなんでも話せる唯一の男の子で。
いわば、あの頃から親友といってもいいくらいの男の子だった。

だから、そんなこと言われたくないし、いつまでもこの関係を壊したくない。

大切な存在だから、匠のためになるならと彼女のフリだってしている。



「今は言わねーよ」



1度ぎゅっと抱きしめられて、すぐに離される。