ずっとずっと好きだった。
転校して、会えなくなっても忘れたことなんかなかった。

そんな、柊くんにはどうやら彼女がいたらしい。



「どうして、教えてくれなかったの!?」



柊くんは、彼女を送るからと反対方向へと歩いていった。



「聞かれなかった。柊に彼女いるとかいないとか」


「だって、野球以外には興味ないような事言ってたじゃない!」


「それは、噂話だよ。ほんと、あいつ噂話には興味示さねーんだよ」



こんな、こんな結果ってあるだろうか。
お母さんを説得して、匠と一緒に住むことになって。
お母さんに同居しないって言われるのが嫌で、匠の彼女のふりまでして。



「お、おい。泣くなって」



いつの間にか頬を流れる涙を慌てたようゴシゴシっと、制服の裾で吹く。



「お前の涙なんて見たくなかったんだよ」


「……え?」


「柊に彼女いるなんて言ったら絶対泣くだろ。だから言えなかった」



照れたようにそっぽを向く匠。



「……匠。でも、ばれてるよ」


「あぁ、絶対連れてくんなって言ったのに来ちまったなー」



あーあと空をみあげる。