夢みたいだった。
無理やりしたときとは全然違う幸せが俺の胸に広がる。



「なぁ、匠!なっちゃんがうちの学校に編入.......ってお邪魔だな」



柊が入ってきて、思い切り離れた俺ら。
柊の目にはたぶん、キスしていたとこが写ってて、2人で顔を赤くする。



「いや、なに?編入?」


「あぁ.......うちの学校、バリアフリーだからなっちゃんのような車椅子でも通えんだ。だから、なっちゃんもここで暮らしてもいいかな.......しーちゃん」


「しーちゃん.......」



なんだか懐かしく感じるその呼び方。



「久しぶりに聞いたな。しーちゃん」


「なっちゃんとしーちゃんだろ。やっぱり」


「でも、名前はどーすんだ?詩音はもう既に夏実として入学してるぞ」



俺らが2人を守るとしても、名前が変わるのはきっといろんな目で見られるだろう。

ふたりがそんな目で見られるのは、すごく嫌だ。



「俺が先生に言ってみるよ。きっともう、ふたりも本当の名前で過ごしたいと思うんだ」



おじさんが詩音の部屋へとはいってくる。