「ちょ、匠.......」


「夏実、俺の傍にいてくれよ」


「.......っ」



なんで?
なんで、そんな切なそうな、そして甘い声を出すの?
そんな声を出すのは、相手を間違ってるよ。



「夏実が好きだ」


「.......っ!?」



匠の口から出た言葉にバッと匠の顔を見上げる。



「女避けなんて嘘だよ。たしかに女避けはしたかったけど、彼女のふりなんて、夏実のことが好きだから夏実に頼んだんだよ」


「え、でも.......」



匠の言葉は嬉しい。
でも、匠には詩音さんっていう好きな人がいて。
それは、あたしじゃない。



「なんだよ、なんか文句あんのかよ」



ポッと頬を赤くして照れている匠に、嘘を言ってる様子はかんじられない。



「だって、いつ?いつあたしのことが好きになったの?」


「は?だから、彼女のふりしてるときはもうすきだったって.......んなの、小さい頃からずっとだろ」



匠の顔はどんどん赤くなっていって、嘘じゃないってことはわかる。