「おい、夏実。いつまで帰ってこないつもりだよ」



こころちゃんの家に泊まらせてもらって一週間。
この一週間は、学校ではひたすらに匠を無視して、家には帰らないから放課後は会わずにすんだ。

そんな、毎日を過ごしていたが、今日は部活が休みだったらしく、こころちゃんの家の前に匠が先にいた。



「匠.......」



今日、こころちゃんはバイトで。
私だけが帰ってきたので、いつものようにあたしの盾になってくれる人がいない。

でも、だからといって、匠とあの家に帰ろうだなんて思えない。



「なぁ、帰ってこいよ」


「やだ.......」



匠の言葉に惑わされそうになるから、慌てて匠から目を逸らして、下を向く。



「ごめん、夏実」


「.......え?」



突然謝られたことに、思わず匠の顔を見上げてしまう。



「夏実のこと、大事に思ってないなんてそんなことないよ」


「そんなこといいの」


「.......え?」



大事に思うとから思わないじゃない。
あそこで、あたしを優先して欲しかっただなんて、ただのワガママだし、そんなことを言うつもりもない。