「.......大事に思ってないわけねぇだろ」



誰よりも好きなやつのこと。
大事に思わない男なんていんのかよ。

ただ、俺は、あの日から詩音のことをずっと見守ってきて。
恋とか、愛とかじゃないけど、詩音のこと守っていきたい。
そんな感情は人一倍あると思う。

偶然、詩音の居場所を知った俺。
誰にも言うなと言われていたから、柊にも言えなかった。
本当なら、柊に言うべきだったのに。



「そういや、はじめて詩音に会いにいくとき、詩音って言う練習したっけ」



思い出して、ははっと笑いが込み上げる。



「あの部屋で再会した時も前の日から夏実っていう練習したんだよな.......」



いまでは、どっちの名前も間違えることなんかない。
詩音も夏実も。

でも、俺が好きなのは、ずっと前から.......。


首にさげているネックレスプレートに手を触れる。



「どうやったら伝わんだろうな、この気持ち」



ずっとずっと小さい頃から、あいつのことが大好きだった。
ほかの女なんかどうでもよくて。
学校になんか行きたくないって、言い出して、行かなくなったあいつに早く会いたくて、毎日はやく帰ってた。



「いつだって一番はあいつなのに」



どうも、うまくいかねぇ。