「わりぃ、柊.......詩音のこと、駅まで送ってって。おい、待てよ、こころ!」



詩音のことは、柊に託して。
俺はこころを追いかけた。



「いいよ。夏実のこと大事に思ってない人に探されても、夏実は嬉しくなんてないと思うから。あたしが探す」


「お前ひとりじゃ無理だろ」


「否定しないんだ?大事に思ってないこと」


「いや、そういうわけじゃねぇっ.......夏実!?」



言い合いをしてた、俺らの前に夏実が現れる。



「夏実!!!どこにいってたの!?帰る時間になっても来ないから心配したよ」


「ごめん。歩いてたら、知らないとこで.......タクシー乗って戻ってきたの」


「おい、心配すんだろ、勝手にどっか行くな.......っ」



夏実の腕に触れた俺の腕を夏実が、バッと振り払う。



「今日は、あたし帰らないから」


「.......は?」


「こころちゃんの家に行くから。帰ろう。バス乗らないと先生に怒られる」



振り払われた手を見ながら、ハッとする。
「大事に思ってない」あの言葉を夏実がきいていたんだと。