「え?」



あたしが聞き直したことに首を傾げる柊くん。



「あたし、昔は柊くんのことが大好きだったって柊くんも知っているよね?」



怖いもの知らずな小さい頃は、自分の気持ちを包み隠さず柊くんに告げていたはずだ。



「あー、ごめん。そういう話だったね」


「.......話?」


「いや、ちがう。一瞬忘れてたんだよ。最近のなっちゃんからは匠が好きってのが溢れてたから」


「え、そう?」



フルフルって頭を振ってから、あたしに告げた柊くんに不思議に思いながらもそんな気にはとめなかった。



「うん。もう、バレバレだよ。そんななか気持ちを伝えた俺も俺だけどね」



ははっと笑う。



「柊くん.......」


「そんな顔しないの」



あたしの頬をグイッと摘む。



「で、匠の好きな子だっけ?」


「う、うん.......」



柊くんなら知っているんだろう。
詩音さんのこと。



「なっちゃんでしょ?」



あたかも当然というように首を傾げる柊くん。