「えぇ.......」



たしかに気づいてなかった頃から、匠のことは好きだと思うけど.......。
でも、入学式なんて、匠にも再会したばかりなのに。



「で?気づいたら顔をみれなくなったってこと?」


「それだけじゃなくて、匠に忘れられない人が.......「え!?なにそれ!」



こころちゃんがテーブルに手をバンッと手をついて、身を乗り出す。



「竜崎さんが言ってた」


「竜崎!?」



あたしの出した名前に目を丸くする。



「わかる?竜崎さん」


「わかるよ。中学から一緒だもん。たしか、匠とは小学校から一緒だって聞いたよ」


「あ、そうなんだ.......」



小さすぎたせいか、2年までいた小学校の友人は、匠と柊くんしか記憶に残っていない。
竜崎さんと関わったことがあるかもしれないけど、記憶にはまったく残っていない。



「でも、あいつ昔から匠のことが好きみたいだから、匠と付き合ってる夏実のことよく思ってないだけだよ」


「.......そうかな」



あの瞳は、嘘を言っているようには思えなかった。