「で?なにがあったの?」



昼休み。
教室だと、匠がいるからとこころちゃんが謎のルートで手に入れた空き教室の鍵をつかって、そこに招いてくれる。

そこは、こころちゃんの空間のようで、彼女の好きなお菓子がたくさん置いてある。



「ここ、こころちゃんの部屋になってるの?」


「うん。放課後とか授業サボるときとかきてる.......じゃなくて、いまは夏実の話!」



はぁっとため息をついて、向かいにあるソファーに座る。



「あたし、匠のことが好きなんだ」


「.......は?」



こころちゃんがなぜか拍子抜けのような顔をする。



「え?意外だった?」


「違くて!今更?って思って」


「え?」



今更とは?
あたし自身、好きなことに気づいたのはごく最近だというのに。



「はじめから、夏実は匠のことが好きなように見えたけど?」


「は、はじめから!?」



こころちゃんと知り合ったのは、入学式で。
あの頃はどう考えても柊くんのことが好きだったのに。



「自分の気持ちに気づいてなかっただけでしょ?」



こころちゃんがニヤリと笑う。