一期一会

でも私は密かにこの体育祭を楽しみにしていた。

だって堂々と中原君を見れるし、応援出来るから。

しかも彼の出る競技の一〇〇メートル走は私達のクラスを横切る。

中原君の走る姿を目に焼き付けよう。

次は中原君が走る番かな。
スタートラインに立っているのが見える。

遠くからでも何処にいるのかすぐに見つけてしまう。
視力が高くて良かったな。

こんなにも中原君を見つめたのは久しぶりだ。

不思議と目頭が熱くなってきた。

ピストルの音が聞こえると一斉に走り出した。

いつも思うけれど、彼は足が速い。


「智也!行けー!」


アツヒロ君が中原君を応援している大きな声が聞こえた。

久しぶりに中原君をこんなにも見つめたせいか、応援したいという気持ちに駆られた。

こんな沢山の応援の声が飛び交ってるんだ。
私一人が声を出したところで彼まで届くわけ無いし。

そう思い、空気を沢山吸い込んでお腹に力を込めた。


「頑張ってー!中原君ー!」


久々に出した中原君の名前に、また目頭が熱くなった。

名前を発しただけでも私の胸を熱くさせる。


中原君はぶっちぎりの一位でゴール。


もう少しゆっくり走って欲しかったな……。

足が速すぎて一瞬だったな……。


「凄いね…中原君、一位だぁ……」

香織は瞳をうっとりさせている。


凄く、わかります。