「明日香」
不安に満ちた君の声
期待しちゃうじゃん
健は覚えてないのかな
付き合い始めの頃
‥‥……――
「健、浮気だけは絶対嫌だよ」
『そっくりそのままお前に返すよ』
……‥‥―――
(浮気は嫌だよっていったの覚えてるかな)
『送信完了』
『明日香、話しを聞いてくれないか?』
「話しを聞くことで、この状況が変わるの?」
立ち上がって健に言う
目に涙はもう溜まってない
髪の毛が風で舞う
健は何も言わない
「この状況で、あたしを無視するなんてさ
殺されたいって言ってるもんだよね」
神崎先輩の顔がますます青ざめる
『殺されたいの』がふざけた『殺』ではなく本気の『殺』だというのがわかってるから
健も同じみたいだった
女はそういうもんなんだよ
健、甘くみたんじゃない?

