そこから当たり前のように渡された最寄駅と地図が描かれたメモ用紙。
 それを素直に受け取ってここまで来た自分もどうかしてると思う。

 宮崎さんに様子を見てきて欲しいと言われたのだ。
 どうして私が?と、顔をしていたらしく、真野さんじゃなきゃ意味がないと言われた。

 釈然としないのにここまで来たのは上川さんの言葉があったから、というのもあるかもしれない。

「私はどんなに行きたいと言っても行かせてもらえなかったのよ。
 橘のマンション。」

「え……。
 じゃ私なんかが行っても……。」

「そうね。入れてもらえないのが普通よ。
 だから冷たく断られてもショックを受けるのがおかしいの。
 分かる?恋人を入れたことないの。
 そこに約束もしていない真野さんが突然行って入らせてって言っても断られるのが普通よ。」

 断られて現実を知れってこと?
 未だに二人が何を言いたいのか図りかねているのに話はどんどん進んだ。

「だから、もしどんな理由でも入れてもらえたら泊まってくる覚悟で行って。
 真野さんがそばにいれば橘も寝られると思うのよ。」

 それが、私に任された任務?
 やっと二人の言わんとすることが理解できた気がする。

 重大任務だ。

 真剣な顔で詰め寄られてゴクリと喉を鳴らす私に宮崎さんは茶々を入れた。