何日か後の夕方。
 私は予約していた病院へ予定通り来ていた。

 一通りの診察を終えてから如月先生へ報告をする。

「苦手だった先輩とお付き合いすることになりました。」

「そう。」

 如月先生はパソコンから目を離さないまま相づちを打った。

「偽薬、ですが、私には薬みたいに効くようです。」

 あんなに不信感を抱いていた如月先生にも今はそれほどの思いは湧かなかった。

 実際に自分には合っていた処方だったわけだし、それに、如月先生を信頼して良かったと思える余りある出来事が今までにはたくさんある。

 如月先生に対しても一時の感情というか、目先のことに囚われていたんだと時が経つにつれて思えるようになっていた。

 偽薬の話題についても如月先生は今までと変わらずいつも通りの対応だ。

「そうみたいだね。
 けれど偽薬でも少しずつ飲まなくて済むようにしなければね。」

「はい。ここ数日は週末に飲まずに過ごせるか試してみたりして、少しずつですが前に進んでいる感じはあります。」