いつもみたいに布団に入ると「寒がりさんはもっとこっちにおいで」と抱き寄せられる。

「俺、真野といると悟りの境地を開けそう。」

「そ、そんなにご迷惑をおかけしてますか?」

「いや、うん。いいんだ。
 真野とこうしていられるのも諦めずにアプローチしたお陰かと思うと感慨深いものがあるな。」

 今日は珍しく橘さんの方がうとうとしていて大きな欠伸をした。

「お疲れですね。」

「なんだか安心したのかな。
 真野をやっと捕まえられた気が、して。」

「もうずいぶん前から捕らわれますよ。
 それにきっと私は最初から橘さんに……。」

「ん?……何か、、言っ、た?」

 寝ぼけ眼の橘さんにフフッと笑う。

「ううん。おやすみなさい。」

「あぁ。おやすみ。」