何があっても平日は仕事の時間がやってくる。
 いつも通り出社して、いつも通りの仕事をこなした。

 お昼になると人の気配がなくなってから話しかけられた。

「ランチにでも行かない?」

 それは宮崎さんだった。

 可愛らしいレストランは宮崎さんらしいチョイス。
 カウンターに並んで座るのは、お昼時で2人はそこしか空いていなかったから。

「橘には懲りたでしょ?
 俺にする気になった?」

 いつもの軽い口調で言われて、つい笑みをこぼした。
 そのせいで宮崎さんに怪訝な声で質問された。

「そんなに面白いこと言ったかな?」

「ふふっ。だって。
 本当は橘さんを応援してるくせに。」

 なんだかんだ言って宮崎さんは私と橘さんが上手くいくようにしてるとしか思えない。

 橘さんのマンションへ行かせてみたり、それに前は橘さんと永島さんが抱き合っているのを見せないようにしてくれた。

 目を丸くした宮崎さんがいたずらっぽく反論した。

「そんなわけないでしょ?
 あんな人さらい。」

「だって……。」

 私が続けようと口を開く前に宮崎さんに大きな人がもたれかかった。

「ほら。噂をすれば人さらいがやってきた。」

 ククッと笑う宮崎さんが肩にもたれかかる大柄の人をバシッとたたいた。
 そして私へとんでもない爆弾を落としていった。